長田寮活動報告


今月8月の報告は・・・もちろん"バンド演奏会!"ではないでしょうか・・・
来る日も来る日も練習に明け暮れ、食事の時間も忘れて練習に没頭したあの日々・・
今月は、当日皆さんにお話しすることができなかった裏話など満載でお伝えしたいと思います。

楽譜も読めない、ギターも弾けないし指もとどかない・・・
楽器によって演奏の仕方が譜面に載っているが、どう弾いていいのかわからない・・・
音程や音の合わせ方や操作手順すらわからない・・・とにかく発表会の3ヶ月前・・・
全てが手探り状態というゼロからの出発でした・・・

先ずはチームに分かれて曲目と担当を決めます。
練習を開始し、ある程度メドがつくと次のチーム づくりが始まり
2曲目、3曲目・・・と、どんどん増えていきます。
中にはメドさえたたず解散に追い込まれたチームもありましたが、
みんな7月16日と8月6の演奏会成功を目指して頑張りました。
子どもたちは何度も何度も繰り返し練習をしました。
また、演奏のコツをつかむ為に、本物の曲を 何回聴いたかわかりません。
練習のし過ぎで指や手首やひじや喉が痛くなりました。指にタコが出来ました。
経費を浮かすため 衣装や楽器や照明などは、インターネット
オークションや中古品を利用しました。
照明や音響などの裏方の仕事を学ぶ為に、実際に活躍している人達の本格的なライブを見に行きました。
お互いに演奏を聴きあって意見を出し合い、その都度、改善してきましたし、会場の設定に関しても沢山の工夫をしてきました。
当日を想定し何度もリハーサルを行ない、プログラムもお手製です。

私たちは自分たちで出来る全てのことをこなし、悔いのない演奏会にしようと、みんなが一丸となって一生懸命頑張りました。


それでは、ここで冒頭にお伝えしました裏話?!をご紹介したいと思います。

・ボーカルのA君ですが、演奏会後のアンケートでも沢山のお褒めの言葉を頂きましたが、その影にはA君の努力の成果があるわけです。
彼の練習方法は・・・ひたすらアカペラで歌い続けるのですが、この声が寮の中だけならいいの ですが外に大きく漏れて・・・隣が駐車場だけに声が共鳴してこのあたり一帯に響き渡るのです。はたからは、ここはどういう所・・・と一瞬勘違いされそうな叫び声が幾日も続き・・・
正直、みんな恥ずかしかったです。(笑)
しかし、A君は周りの動揺に臆することなく日々、練習に励みました。
そして、当日は大好評!皆さん絶賛でした。

・仕事組の練習時間は夜遅くになってしまいますが、その時、生徒が操作を間違えてボリュウム を上げてしまい、ご近所からの通報でおまわりさんがやってきました。
ご近所の皆さんにはお騒がせして大変申し訳なかったのですが、
子ども達にとっておまわりさんから注意を受けたこともいい意味で人生勉強になったと思います

・バンド発表会の両日とも午前中はリハーサルですが、8月6日のファイナルコンサートの日、リハーサルで最後にキーボードを演奏した子が、自分が演奏する時にスムーズに音程を設定できるようにと、キーボードの音程を1レベル上げて設定しました。
(他のチームのキーボードの音程はレベル0の標準です)
曲によってキーボードの演奏者は音質を変えますが、まさか音程が変えられてしまっていた・・・ということに当然気付かず、
設定してしまった生徒も設定データーがスイッチを切っても残ってしまう・・・ということを知らず・・
8月6日の前半にキーボードが入った曲は全てトラブリました。
知らなかったとはいえ自分の都合だけで勝手に調整し、しかも
具体的な試しもせずに当日の本番前にとった軽率な行動は、
この日のために一生懸命練習してきた前半のメンバーにとって
可愛そうな結果になってしまいました。

・当初、訓練生だけでバンド演奏会を行う予定でしたが、練習を開始した2ヶ月目頃に仕事組の お母さんから「おじいちゃんが
孫の晴れ姿を見たいと言っていますが、今回の演奏会に息子は
出ますか?」という問い合わせがありました。
忙しい仕事組です。正直予定はしていませんでしたが、おじいちゃんの願いを叶えたい・・・ の一心で仕事組の子どもたちが
立ち上がり、きゅうきょ、残り一ヶ月・・というのに練習が
始まりました。
仕事が終わってからの練習ですから毎日、夜遅くまで大変だったと思いますが頑張ってくれました。 
時間が無かっただけに"ウケ狙い?"で終わるかと思いましたが
仕上がりは上々。
演奏会も見ての通りです。上手に演奏してくれました。
私たち指導員も気付くことが出来なかった長田寮生全員バンドが、おじいちゃんのおかげで実現しました。
おじいちゃん、ありがとうございました。 

・今回のライブには保護者の皆さんはもとより、多くの学校関係者や行政機関の皆さんをお招きし、子どもたちの前向きな姿を見ていただきましたが、
子どもたちがお世話になっている県立明和高校の1年C組担任の白塚先生からメッセージを頂きました。(ライブアンケートより)
「こんなエネルギッシュな生徒を見て、こちらまでエネルギーをもらった気がします。 学校ではつまらない数学を静かに聴いてくれていてありがとう。
君たちは本当に素晴らしい!自信を持って これからも生きていって欲しい。」

白塚先生、お休みにもかかわらず暑い中わざわざ足を運んでいだだきありがとうございました。


次に、ライブにいらっしゃった皆様からの感想をご紹介しましょう。

・みんなのライブを盛り上げようとする姿・・かっこよかった。
また、自分自身に自信があるから自然と笑顔になっていた。
その姿を見ていると、あーよかった、今を生き生きと生きている。入寮当時の面影なんて、一つもありませんでした。
難しいことから逃げない、やり遂げるその たくましさに感動しました。   

・準備も自ら機敏に動いて引きこもっていた2年半前からしたら嘘のようです。
表情も本当に明るくなり引きこもる何年か前の息子に戻ったようでした。

・孫に会えるかと思うと楽しみで朝早くから目が覚めました。
会場に到着すると子どもたちが笑顔で お客様を迎えていましたが私の孫もその中にいてお客様に説明をしていたのです。
別れた時と今、目の前にいる孫を見て太っていた頃の面影がなくビックリしました。
よくここまで頑張ってこれたのかと思うと声も出ず見ているだけでした。

・兄ちゃんがベースとギターを初めてやるのに弾けてたから凄いと思った。
2回で終わらせるの もったいないからまたやって欲しい。

・つい少し前迄、家に引きこもり外の世界から遠ざかって昼夜逆転生活を送っていた息子が、入寮間もなくギターに挑戦していることを知り、大丈夫かしら・・・
一瞬思いましたが、腰を 振りリズムをとって演奏する姿にはほんとうにビックリしました。

・A君と隆宏先生の歌の上手さは抜群です。

・演奏順番でない時の子どもたちの楽しそうな踊りや笑顔も私たち大人を本当に幸せな気持ちにし てくれました。
息子のあんないい表情も久しぶりに見ることができ、わたしも
幸せでした。

・今回の発表を通じて子ども達には無限大の可能性があるんだと改めて感動しました。
どんな困難にも諦めず努力することで得られる達成感、お互いを高めあう仲間がいることの 素 晴らしさを実感していると思います。
人は人の中で成長させて頂ける・・・
親が教えられない 沢山の学びがここにはあると感謝しています。

・演奏を聴きながら去年の夏のことを思い出していました。
姿を見ることができず部屋に引きこもっていたあの時の息子は
なんだったのか・・・
今、信じられないくらいに元気になった息子を見ることができてとてもうれしかったです。

・みんな極端に自分を表現することが苦手でマイナスエネルギーを出していた子たちが、プラスの エネルギーを出して今、人を
感動させている。すごいことだと思います。

・「エッ!これが兄ちゃん?!」ライブを見ていておもわず口に出た言葉です。
あんなにひょろひょろでガリガリでまっ白だった兄ちゃんがこんなに普通の男の子ぐらいになっ ていて、嬉しかった です。
見ていて一緒にやりたくなってしまうくらい楽しかったです。

・よく「みんなで作り上げた・・」と言いますが、歌う人、演奏する人、照明、音楽、進行と別れたパートのみんなが、というのが普通ですけど、長田バンドは誰でも何でもやっちゃうんですね。年齢も関係なく。それが凄いな、と思ったし、心に響いてくるものでした。
この人達・・ ここを卒業して社会復帰したらかなりの事が出来るんじゃないでしょうか。それも責任持って。

・親のひいき目ですが、ちょっとかっこよかったかな・・・などと思ってしまいました。
わが子で あってわが子でないような感じでした。

・この子たちは本当に引きこもりだったのかと思わせるような
生き生きとした姿に感動しました。皆さん初心者なのによくここまで仕上げられたことに日々の努力が感じられました。
このライブを成し遂げた事は子どもたちにとって大きな自信になったと思います。

・息子はもともと音楽好きでニート状態で家にいるときも遅く起きだしては音楽を聴き、自分ひとりで歌ったり踊ったりしていました。
もちろん誰も聞く人など無く、なにも出来ないもやもやを発散しているかのようでした。 
それが、大勢の前で歌を歌うことが出来るなんて私はもちろんのこと、 本人も考えられなかっ たことだと思います。 
感動の一日をありがとうございました。

・ライブでは見事に自分の殻を破り、思いっきり自己表現し、
しかも楽しんでいる姿は眩しかったです。 
感性が育まれるのは若い時期だと実感しました。

・元、引きこもり集団。やはりライブとはいえ真面目に取り組みはしても暗さが・・・
と不安がありましたが一曲目でその不安はみごとにかき消されました。みんな明るいですネー!

・司会の3人の皆さんと、途中参加の卒業生との話はツッコミ満載でまるでお笑い!
以前引きこもって親を苦しめていた子にはとても見えず、明るくていい青年でした。

・本格的なライブに心底ビックリしました。
ウチの息子がギターを弾いて唄いながらしゃべりまでこなしている!?はあ〜参りました。
飛び跳ねて前進で楽しさを表現しているのが、あの泣き虫だった息子だなんて・・・
目の前で奇跡のような嬉しい世界が繰り広げられていました。

・演奏が始まって、まず驚いたのは演奏の質の高さでした。
正直なところ寮生がここまでやってくれるかと思うくらいすばらしい演奏が最初から最後まで連 続し、自然と涙が溢れ出して
演奏中ずっと拍手を送りつづけていました。

・前にも増して、引き締まった体もそうですが、髪をアップにしてメガネをはずしていたせいもあ りますが、「男前」に見えました。
曲にノリノリの息子・・私のテンションは上がりっぱなしです。
感動に鳥肌が立ち、暑さの中で寒気さえ感じました。
息子がみんなの前で唄っている・・・その 状況自体未だに信じられません。
何よりも感心したのは休憩時間に入り息子がテキパキと準備を する姿です。
「子どもに負けてはいられない」そんな思いが一層湧いてくるときでした。
子どもの生き生きとした笑顔を見て、私自身「気を抜くことなかれ」と心に強く念じました。

・わが子は気が強いが消極的・・そんな子どもでした。
人前であそこまで自分を表現できるまでに変わっていました。
正直想像以上でした。目標を達成し、成し遂げた自信はこれからのガンバリや 人生に大きな宝になったはずです。
娘は将来の目標や夢までもつかんだようです。
親として子どもが夢を抱く事こそ幸せなことはありません。
ありがとうございました。

・三ヶ月前まで布団の中で口もきかずにいた甥が・・・
楽器に触れる姿なんて見たことも無いのに、たった、三ヶ月間であんなに楽しそうに演奏したり歌ったりしているのを見て安心しました。

・以前は本当にこの子どもたちは不登校引きこもりをしていた子どもたちなんだろうか?
と不思議に思えてくるくらいの元気さで、私自信も元気をもらいました。

・ 二度のライブを聴いて一番に思ったことは、わが子がこんなにも頑張っている姿にとても励ま されたことと、同時に自分の心に喝をいれられたことです。
別人の様な姿の娘に戸惑い驚きました。
この子にこれだけのパワーがあったのか・・・と感じました。
屈託の無い笑顔を久しぶりに見た ような気がします。
昼夜逆転してまるで廃人のようなおびえた気配の顔とは違って
いました。
人前で話す事すらままならなかった子が、あんなに大勢の人の前で堂々と歌い、そして3ヶ月の 練習だけでドラムが早いのにはビックリしました。
仕事もしている中で学校にも通い、良くここ までやったな・・・と感じると同時に母親であり ながら日々の生活に甘えと恥を
痛感しました。

・今回の二度のライブを通して学んだこと・・
私たち親は感謝するだけでなく先生や子どもたちが身を以って
示してくれたことを今後の自分たちの子育てや人生に生かしていかなければならないと、今、強く感じています。


保護者のみなさまをはじめ関係者のみなさま、温かいメッセージとエールをありがとうございました。
みんなゼロからの出発・・と冒頭お伝えしましたが、正直スタートから山あり谷あり・・
大変でした。
バンドの難しさを知らない私たちは、安易に"カッコイイ曲、素敵な曲"を選んだことが
運の尽き・・・イコール大変難しい・・・などとは誰もが気付かなかったのです。
その典型的な例がアンケートでも上位を占めたグレイの"誘惑"です。
メンバーの理想は高かったのですが、やり始めてみるとあまりのテンポの速さと腕の未熟さに
メンバー全員がついていけず、スタート時は"崩壊バンド"と呼ばれ、解散に追い込まれそうにもなりました。
チーム名も"ボーダーライン"(ぎりぎり・・という意味です)とついたのもここからきています。 しかし、"誘惑"だけにかかわらず、他のチームも同様でした。
この課外学習でもあるバンド演奏は、みんな大変でしたが、子どもたちは多くのことを学びました。
家庭でも、学校でも、社会でも充分にありえる気配りや機転、チームワークの大切さや、失敗を
補う為の努力、そして成果が生まれ、そこには達成感や感動がありました。
また、あまり調子にのると慣れからくる気の緩みや、おごりが油断となりミスにつながることを 学びましたし、日々成長することの難しさも学びました。
上手く弾きこなせなくて、悔し涙を流した子もいました。
少しずつ上手くなっていく自分に自信を取り戻した子もいました。
いつも己に負けていた子が"努力する"ということを学んでくれました。
メンバー全員がひとつになり盛り上がることができました。


今回のバンド演奏会もみなさまのお力添えとご支援の賜物です。
何よりも保護者のみなさまが お暑いなか遠方よりお越しいただいたことが、子どもたちに
どれ程の希望と勇気と感動を与えて下さったことか・・・はかりしれません。
子どもたちと共に感謝し御礼申し上げます。 心をこめて・・・ありがとうございました。




※ 好評でした今回のバンド演奏会ですが、只今、プロモーションビデオを製作中です。
もちろん、企画、演出など全て生徒が中心となって行なっており、完成ののちには皆様にお送りしたいと 思っております。どうぞお楽しみに・・・。





                             塾教育学院    日下部愛子

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