長田寮活動報告

長田寮の生徒は男女あわせて26名です。生活を共にしながら日々訓練を続けていますが、通常は「訓練組」と「仕事組」という呼び名のもとに2つのグループに分かれています。
「訓練組」とは読んで字のごとく、まだまだ訓練が必要な子供達で、現在19名が勉強に運動にと 毎日頑張っています。
また、「仕事組」は訓練組を終えた子供達で、7名が日中は仕事(アルバイト)をしていて、その足で夜間高校に通い、帰りが22時という大変忙しい子もいて、社会という荒波にもまれながらの実践教育を行なっています。
(小学生・中学生は退寮日まで訓練生で、学力改善・ 体力改善・生活改善・性格改善等を行ないます。)
今月は日々懸命に頑張っている「訓練組」の一日を保護者の皆様にご紹介したいと思います。

先ずは一日の始まりからお伝えしましょう。
起床は6:00です。入寮前は適当に起きるか、家族に起こしてもらっていたのが、当たり前でしたが、"自分のことは自分でする"がモットーのこの寮では、"自力"で起きなければいけません。 この時間になると、寮内のあちこちから一斉に時計のベルがけたたましく鳴り出します。
私も以前、聞き間違えて火災報知受信機(出火場所を確認する装置)まで、走ったことがありました。それくらいの大音響なのです。
子供達は起床後、朝の身支度を終え軽い筋トレののち朝食です。
朝食を終えると昼食当番は昼食の 準備を開始しますが、それ以外の子は前日与えられた課題など、やり残しがあれば、この時間に自習します。
7:30 今度はみんな揃って掃除です。掃除も大事な訓練の一つですが、子供の中には 何の為に掃除をするのかわかっていない子がいます。
きれいにすることが目的の掃除が、バケツに入った相当汚れた水のままで使用後の雑巾を洗い、その雑巾でまた掃除をやり始めたり、拭いてはいるけど力が入っていなかったり、拭く方向が間違っていたり、隅やかど等のこまかい所に気付かなかったり・・・
子供達は毎日の掃除という時間からも、生きるための知恵を学んでいるのでいます。
(掃除指導有り) 8:00学習開始です。ここでもう一つ訓練組について、みなさんにお伝えする事があります。
それは、訓練生19人は<勉強組14人>と<内職組5人>の二つに分かれているのです。
勉強組のメンバーは殆どが小中学生で、学力低下・遅れをとり戻す努力を日々続けています。中には中学生でも小学校のドリルから始める子もいますが、学校に復帰したときみんなについていけるよう皆一生懸命です。
一方、内職組メンバーは、ほとんどが15歳以上の子供達で、「仕事組」になる前の練習をします。
一般の企業から仕事(内職)を請け負っていますが、内職組は会社組織にしていますので、全ての業務を子供達がこなさなければいけません。
子どもたちの中には店長・商品管理部・経理がいて、朝は朝礼から始まり、終了時には反省会もあります。
業者との電話のやりとりや商品管理、納品の打ち合わせ、そしていい仕事を積み重ね信頼関係をつくり、給料がそれぞれの口座に振り込まれます。
(ここでの、貯金は本人の自立の時に渡されます)当然集計のための経理作業もします。
内職は大変地道な仕事ですが、仕事の原型ともいえます。
一般の企業と接しながら作業内容や社会のしくみを勉強し、仕事の厳しさを体感し、1個1円にも満たない仕事も中にはありますからお金の大切さも学びます。
(今請け負っているしごとは○○の商品で、楽器を拭くガーゼの袋詰め)
また、内職組は週に二回、近くにある医療施設に出かけ、入居者の方々の食事介助(ボランティア)も行っています。
自分の事で精一杯の子どもたちが、不自由な方々のお世話をさせていただくことによって、人様のお役に立てることが子どもたちを大きく成長させますし、豊な人間性が築かれます。
こうして学習組も内職組もそれぞれが目標を持ち日々努力しているのです。
12:30からは昼食です。
(体育館などに出かける日は12:00からです)朝から昼食当番が作ってくれたおいしい?!昼食をいただきます。
この時も当たり前のことですが、食べる用意も片付けも自分でします。
そして食後は各自午後からの授業の準備をします。
午後の授業は月曜から金曜までの5日間のうち、3日間は運動をします。以前にもお伝えしましたが 長年不登校や引きこもりでいる間に、体力低下、体重増加がみられ生活習慣病そしてその予備軍 という子が大変多いために運動を大事にしています。
また運動の中でバレーやバスケなどを行ないますがチームプレーによる協調性を学び、ネームコールなどで大きな声を出すことで心身共にリズムが生まれ発声の練習にもなります。
運動の3日間のうち2日間は体育館で、残りは名古屋市のグランドに出かけ太陽の下で走ったり、サッカーをしたりと基礎体力と持久力をつけます。
残りの2日間は課外授業ですが、いろんな事をします。
課外授業の目的は、いろんな角度から活動・体験している間に、その子が持つ問題が明らかになってきます。
指示をしなければ動けない・指示しても動けない・ひらめきが無い・先を読むことができない・機転がきかない精神的に耐える力が弱い・・・といった問題点を見つけ出し改善します。
今月行なった課外授業を紹介すると・・・。

( レストア )・・古い車を修復し再生します。その過程で作業の中から子供たちの様子(片付けが出来ない子、機転、気配りが出来ない子、要領が悪い子、協調できない子、先がよめない子・・・・等)がわかるので、"できる男""できる女"になるための訓練です。
レストア作業は気の遠くなるような時間と手間がかかる仕事で、ボロボロのゴミ同然の物から、有が生じ実際に走る車に完成した時の感動と、今までには得られなかった達成感を体感するのです。

( カラオケ )・・「私・・カラオケなんてできません・・」と言ってもじもじしていた子も、今ではマイクの奪い合いです。ゲーム制を取り入れているので、みんな楽しく歌います。発声練習にもなりますし、なによりも度胸がつきます。

( バレー・ドッチボール・バトミントン・サッカーなどのスポーツ競技 )・・一歩、家から出たらそこは修羅場、学校や社会は、ある面は勝つか負けるかの世界もあります。入寮してくる子のほとんどは勝負に縁がなく、「まぁーいいや・・」と消極的だったり、「勝つんダ!」の男らしさや精神的な強さ、そしてその意欲に欠ける子が多いので、ここ長田寮でのスポーツはチームプレーを大切にし、且つ全力を出し切るフェアプレーにより勝敗にこだわっています。

( ボクシング )・・東海ボクシングジムにでかけ、男子も女子も私も?(老骨にムチ打って・・・) 頑張ります。
ボクシングは自分との戦いです。負けられません。なによりも闘争心を養います。

(電子工作)・・名古屋の大須に出かけ(東京なら秋葉原のようなところ)電子工作のパーツを買ってきてラジオやオルゴールを作ります。細かい部品が沢山あってハンダ小手なども使用しての 作品です。大人が作っても大変な工作ですが、みんな一生懸命作ります。

(陶芸)・・名古屋の熱田神宮の近くにある工房で、電動ロクロによる陶芸を体験しました。土に 触れると気持ちがなごみますし、何よりもちょっとした力加減で器が変化していくさまに、子どもたちも皆、感嘆の声を上げています。出来上がりは一ヵ月後になります。

(バンド)・・今回、始まった ばかりの課外授業はバンドです。それぞれドラム・ギター・ベース・ボーカルに分かれての演奏ですが、ほとんどの子はこれらが初めてで、楽譜すら読めない子もいます。 どうなることやら・・・乞うご期待・・・といったところですが、演奏も上手くなり、何とか聴ける レベルになりましたら、保護者の皆さんをお呼びして発表会をひらきたい・・・と思っています。
練習の様子は、また来月報告させていただきます。

2月もあっという間に月日が経ちました。そして子供達も一生懸命頑張っています。
毎月のミーティングでは組替などの発表を行ないますが、今月はA君、Bさんが「内職組」になりました。いよいよ社会にでるための準備が始まります。
そして、C君、D君が「仕事組」になりました。
みんな努力してきた月日が長いだけに、ひとつひとつの目標を達成し、これからも着実に成長して欲しいものです。
それから、嬉しいお知らせです。寮生のE君が愛知大学・中京大学(それぞれ経営学部・経済学科) に合格しました。
高校中退という過去もありましたが、入寮後、大学進学という夢を持ってからは 大検に合格し、特別な進学塾に通ったわけでもなく、それまで勤めていた会社も辞めて受験勉強に没頭し、自力での合格でした。
寮生にとってこの朗報は「やればできる」「努力すれば夢は叶う」という現実をE君はその背中で見事に教えてくれたのです。
E君以外にもここ2〜3年の合格状況をお伝えしますと・・・


(長田寮生・春日井生・ネクステージツアー生)


慶応義塾大学総合政策学部・国立名古屋大学工学部(今春から大学院)・国立名古屋大学文学部・ 名城大学工学部・国立岐阜大学工学部・愛知大学・中部大学・千葉工業大学工学部・名古屋学院英米科・名古屋学院大経済学部・愛知工業大学工学部・岐阜聖徳学園大学短期大学部幼児教育部・亜細亜大学経営学部・杏林大学経営学部・玉川大学経営学部・東邦学園大学経営学部・国立室蘭工業大学応用科学・西安造形大学・オーストラリアトレインテック2000競馬学校・代々木アニメーション学院・大検合格多数・定時制高校3卒多数・日本商工会議所主催簿記検定3級合格・4級多数・・・ 高校合格者多数・・・


子どもたちは夢に向かって果敢に挑戦し、輝かしい人生のステップとして確実に前進しています。 長田を信じてきて下さる保護者の皆様に日々感謝しながら、これからも子供達の自立の為に一生懸命応援していきたいと思います。
そして、今後も子どもたちと共に更に上のステップに向けて頑張ります。




                        塾教育学院      日下部 愛子

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