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" こんこんと水は流れて花菖蒲 "

菖蒲が美しい季節となりました。ここ長田寮でも皆慌しく毎日を過ごし、仕事に・・・学校に・・・訓練に・・・と子どもたちは頑張っています。
世間で言う"五月病"などというものにはまったく縁のない日々で、それだけ一人一人が一日を大切に生活しているということではないでしょうか・・・。
今月は寮の中での主な出来事を、指導員が書く毎日の日誌からおってみました。(行事に関連する事柄のみに限定し、個人的な記述はありません)

5月2日(月)
課外学習であるプラモデル発表会の日となった。結果はもちろん1位が長田指導員2位が長谷川指導員3位に★君4位が・・となった。
この2ヶ月のプラモデル作りで★君は大きな自信をつけて堂々としてきた。他の生徒も皆、先をみて計画を立てること、手順を守ること、準備や片付けから仲間と協力することまで、数多くのことを学んだようだ。


長田指導員の作品

長谷川指導員の作品

★君の作品

5月3日(火)
明日はいよいよソフトバレー大会だ。出場するのはファミリーの部で真剣勝負というよりも楽しむという感じが強いが試合をしたり、一般参加の人を見て自分を見つめなおし、また日頃の努力の成果を見せてほしい。

5月4日(水)
今日はじめてソフトバレーの大会に参加したが結果は散々だった。
始め協会からは小学生もいるので力を加減して・・・と言われていたが、いざ始まると長田チームが一勝しただけで残りは全敗してしまった。相手は大人と小学生、そのチームに負けて情けない。日頃の成果も出し切れないまま終わってしまった。
次こそは必ず勝つ!と生徒とともに思いを新たにする。





5月5日(木)
今日から★君がボランティアに参加した。(注1)体の不自由な人を介護し、また、そこで働く人を見て、恵まれた自分を知り、いたわりの心を持ち実際の現場の中で対処していくことを学び成長してほしい。
★君から聞いた話だが★君がどう接していけばよいかわからず立ちつくしたらしい。良い修行になりそうだ。

注1:塾教育学院の生徒はボランティア活動をします。(医療関係・盲導犬協会など)
不登校、ひきこもりになると、家庭以外の外部との接触は全くといっていいほど途絶えてしまいます。その間は、自分中心で生きるのが当たり前という考えの狭い生き方をするために、本来ならば月日とともに周りの人たちから良い影響を受け、自分も大きく成長していくわけですが、この大切な時期に人間関係がストップしたままで、体は成長しても心の成長は未熟なままという現状があります。
豊かな人間性を育てるためには隣人を思いやり、隣人と助け合って生活していく心の教育が必要です。そのためには多くの人と触れ合い、さまざまな経験をすることが大切で、お互いを思いやり、人々のお役に立ち感謝される人となることが、心の発達には不可欠であり、かたくなに閉ざされた心を広げていく"人間教育"となるわけです。入寮後は、定期的にボランティアに出かけ、止まってしまった人間関係を取り戻し磨いていきます。

5月11日(水)
今日ボクシングに行った。先日入寮したばかりの★君、ボクシングを力一杯やっていた。「難しいけど気持ちいい!」と言っていた。積極的に寮生と話し、少しずつ馴染んできたようだ。

5月12日(木)
課外授業でもあるカラオケに出かける。カラオケの新しい課題として「どれだけ盛り上げようと努力しているか」をあげたところ、手拍子をしたり、肩を組んだり、ひきこもっていたとは思えないくらい明るさがあってよかった。

5月26日(木)
課外学習であるプラモデル作りが終了したので、今日からは原付のレストアがスタートした。走らない5台のバイクを走るようにレストアし、オークションで売って修理費用を補うという流れだ。5台にそれぞれ生徒が分かれ始まったが、リーダーは★君、★君★君、★君、★君だ。広い視野を持ち適切な対処を覚え、いろいろな経験から成長してほしい。





"毎日の生活が訓練"である長田寮では、日々子供たちは失敗をしながら、自らを反省し次に生かしています。連日失敗続きの子もいますし、克服したかと思えばまた風邪のようにぶり返す子もいます。しかし、子どもたちはけなげにも毎日一生懸命前進し、訓練、アルバイト、学校・・・と頑張っているのです。
今年も、この4月に仕事組の★君が向陽高校で皆勤を達成し学校側から表彰されました。また、何人かの生徒が定時制を3年で卒業するために今年も大検を受検します。
そして、中学生の一人は先日受けた実力テストでとても良い成績をとり、学校の先生からお褒めの言葉をいただきました。本人もとても喜び次への活力に繋がりました。

可能性の芽を伸ばすのも摘むのも自分自身。花が咲いて若葉が萌え立ち、やがて豊かな実をつけるよう、私たち指導員も子どもたちと共に頑張ります。

塾教育学院  日下部 愛子

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