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平成16年の夏合宿についてご報告申し上げます。
<7月26日・月曜日>  
恒例となりました夏のサバイバル合宿も無事終わりました。初日は福井県永平寺の名古屋別院に 出かけ“お山風”(福井県永平寺と同じやり方で大変厳しい・・40分坐禅を2セット)という坐禅 からスタートです。
坐禅とは・・・文字通り坐る禅ということです。ものごとの真実の姿、あり方を見極めて、これに正しく対応していく心のはたらきを整えていきます。その為には心を一途に集中しなければなりません。ものごとの表面の姿、形にとらわれて好き嫌い良し悪しの心の動きがあっては出来ないのです。
しかし、坐禅中に睡魔に襲われたり、足が痛いとか、かゆいとかで動いてしまったら・・それは自分に甘い(自分自身に厳しくできない。自分に負けてしまった)ということです。
自分に厳しくすることは、なかなか難しいことですが、おのれのためです。 永平寺の境内には凛とした空気がはりつめ、ただ蝉だけが桜の樹の中から湧くように鳴いていた 夏の暑い日、お山風坐禅は始まりました。
坐禅中、心の乱れから体が動いてしまうと“警策”(きょうさく)と呼ばれる細長い棒で肩を叩かれますが、警策は仏様の手といわれ、仏様がおのれの未熟さを教えてくださり、同時に励まして下さるのです。
しかし・・・今年もお坊様は大変お気の毒でした。あちらこちらで励ましをいただいたとおもわれる音が鳴り響き、おもわずお坊様の手首が腱鞘炎にならないかしら・・と心配になりました。
坐禅終了後は、お坊様からありがたいお話があり「働かざる者、食うべからず」と一喝され子供達も気持ちを引き締め、さあ、一路私たちはキャンプ地でもある愛知県の知多半島に向ったのです。
バスに揺られて1時間半、一行は地引網会場である内海海岸に到着しました。
寮生、外部生、春日井生が一丸となり、力を合わせて網を引きます。鯛、舌平目、セイゴ、あじ イカ・・・網を引き上げると、思いのほかたくさんの海の幸で一杯になっていました。
このサバイバル合宿の特徴のひとつに、地引網で得た獲物は全てを使い切り、一匹たりとも無駄にしてはいけない・・・という課題があります。そしてレンタル代・食費もあらかじめ決められていて その中で生きていかなければならない・・・という条件もあります。食料が無くなれば海に行き、 薪がなくなれば山に出掛けなければいけないのです。
そんな中、夏合宿初日のメイン・イベント、《 創作料理コンテスト 》が開催されたのでした。
制限時間は2時間。食材はもちろん今日収穫した海の幸を使っての創作料理です。審査は指導員と この合宿に同行されたフジテレビのディレクター・カメラ・ADがそれぞれ<見た目><味>で5点ずつ。
このコンテストはひらめきや発想を重視しているので、<アイディア>に関しては10点の配点で審査をします。子供たちも審査に参加し一人ずつ投票しますが、子供達の票のゆくえによっては一発逆転もありえます。
各チーム本番まで思考を凝らし、何度も話し合い一生懸命計画した内容で 激突するだけに、最後の最後まで目が離せません。
6チームのリーダーが集まりジャンケンで魚を 分け合った後、料理コンテストがスタートしたのでした。
入賞したチームにはそれぞれ豪華?食材が提供され、2日目の夕食メニューに加わります。
・・・賞 品・・・
《 1位 》カルビ+ロース+タンの焼肉セット。
《 2位 》カルビだけの焼肉セット。
《 3位 》ピートロ+骨付きソーセージ。
《 4位 》ちらがー(沖縄料理で豚の耳から鼻まで付いた一頭分の顔の皮)・豚の舌 ・ トン足
《 5位 》ヘボ(蜂の成虫と幼虫の佃煮) ・ とぐろを巻いた乾燥“まむし”一匹ぶん。
《 6位 》青汁ベースで、各チームから食べれるものを一品づつ出してもらい、それをジューサーで攪拌し、常温で飲んでもらう
       ミックスジュース。
ごらんの通り、1位〜3位までは是非食べたい物ですが、4位〜6位は絶対!食べたくない物です。 子供達全員に気合が入ったのは、いうまでもありません。
2時間という制限時間と戦いながらの調理は、子供達にとって慣れない事ばかりです。
普通に積み上げた薪の上に新聞紙だけを乗せて火をつけようとしていた春日井チーム。その後新聞紙をちぎりながら燃やしていましたが薪に着火するわけなく、40分後に見かねた指導員が火のつけ方をおしえました。
ほかにも魚の三枚おろしや、かれいの五枚おろしに、タコのぬめりとりやさばき方。いかのエンペラや内臓のはずし方に、舌平目の皮のむき方・・アナゴのぬめり取りにさばき・・・・
いやはや各チームから選出された魚さばき係は、「キショーッ!(きしょくわるい)」の連呼とともに指導員を含めて全身生臭いのとウロコだらけになってしまい大変でした。
その他、飯ごうで炊いたおこめが、おこげどころか炭になってしまった「邪悪チーム」や、「ホンワカーズ」は魚の身をたたいて細かくした後三等分し、ひとつにはほうれん草のピューレを入れて緑に、もうひとつにはにんじんのみじん切りを入れて赤くし、そして3つ目は普通のつみれの色で“3色つみれコンソメスープ”にしょうとしたところ、とれたタコをぶつ切りにして入れてしまったために、3色どころか全部赤くなってしまったりと、各チームハプニング続出、悪戦苦闘の2時間でした。
みんな4位以下の賞品を食べたくないだけに、1位を目指して一人一人が力をあわせて頑張ったのでした。
・・・審査結果・・・
《1位》  95点  ザ・マッスルチーム  魚餃子・いかめし・つみれ汁・さしみ

《2位》  93点  ホンワカーズチーム  鯛めし・魚ハンバーグ(カレー味)・つみれコンソメスープ

《3位》  74点   特攻野漏Bチーム   づけ丼・シーフードサラダ

《4位》        特攻野郎Aチーム   魚の炊き込み御飯・やさいの田舎煮・きゅうりの浅漬

《5位》        おやじーズチーム   魚ハンバーグ

《6位》         邪悪チーム       シーフードピラフ・魚ロールキャベツ・魚ハンバーグ  

どのチームも甲乙つけがたく、とくに1位、2位は接戦でしたが上記のような結果になりました。
ザ・マッスルの餃子の中身は魚とチョコレートとチーズの3種類で、デザート感覚も楽しめました。いかめしもおいしかったです。つみれの隠し味に入れた大葉もきいていました。
ホンワカーズの孟宗竹を飯ごう代わりにして炊いた鯛めしも、竹の香りがしてとてもおいしかったですし、ハンバーグも最高でした。なによりも全てのうつわが竹細工だったのには驚きです。
また特攻野漏Bのづけ丼は、ご飯のうえにのっていた大葉やみょうがの薬味が絶妙に合っていましたし、特攻野郎Aの炊き込み御飯と田舎煮の味付けはプロもビックリ・・・とてもおいしかったです。
春日井特攻の両チームはおいしかったのですが普通すぎて、アイディアや創意工夫を重んじるこのコンテストに於いては、アピール度が低かったように思います。
おやじーズのハンバーグは良かったのですが、一品のみであったことが票に響いたようで残念でした。しかし、サラダにかかっていた手作りドレッシングの味はこれはプロの味!おいしかったです。
さて、邪悪の料理ですが・・・発想は良かったのですが・・・・コメントは・・・・・差し控えさせていただこうと思います。そのあたりはみなさんのご想像におまかせします。
こうしてチームで力を合わせ挑んだ《 創作料理コンテスト 》も大盛況のうちに終り、合宿初日 は無事終了したのでした。

<7月27日・火曜日>
合宿2日目です。昨日とはうって変わって一日中運動をしましたが、その名も・・・ “燃え上がれ!男堕裸毛の体育大会”(オトコダラケノタイイクタイカイ)です。
午前中はビーチバレー大会で6チームに分かれてのリーグ戦でしたが、1位は邪悪チームで2位はおやじーズ。
3位はホンワカーズとザ・マッスルです。

午後からはビーチフラッグ大会で、砂浜にうつ伏せになって寝ころびスタートの合図とともに立ち上がりダッシュ。数メートル先にあるジュースを誰が先に取るか・・・を競い合います。
@ノーマルフラッグ(20m)
Aロングフラッグ(50m)
B二人でロング(50m)
C借り物フラッグ(借り物・・○○君の胸毛。ワカメを頭の上にのせて走る。等)
D二人三脚 
E海からフラッグ
F穴埋めフラッグ(勝たせたくないチームの走者を埋め、それからフラッグ)でビーチフラッグが終ると次はチーム対抗11人12脚です。二人三脚の要領で全員がひもで足首を結び、30mの距離をチームの結束のもと駆け抜け、それぞれのタイムで競い合いますが、ホンワカーズがダントツで1位をものにしました。

これが終ると、次はサバイバル相撲です。各チームから一人づつ出場し、6人相撲で生き残りをかけます。生き残りは春日井特攻野郎のAチームでした。
以上それぞれの競技で入賞した順に得点が加算されていきますが、男堕裸毛の体育大会もみんな砂だらけになりながらも、チームの総合優勝をめざして頑張りました。結果は以下の通りです。
・・・順位と賞品・・・ 
《1位》 邪悪チーム     一人当たり300円分のお菓子やジュース。
《2位》 おやじーズ            〃
《3位》 ホンワカーズ    一人当たり100円分のお菓子。
《4位》 ザ・マッスル    他チームのおこげ洗い(鉄板・鍋・網などすべて)
《5位》 特攻野郎A     全炊事場の掃除
《6位》 特攻野漏B     トイレ+フロ掃除
いやはや・・・灼熱の太陽のもと、皆さんお疲れさまでした。
こうして夜になり、楽しい夕食の時間となりました。そうです!昨日の《創作料理コンテスト》で得た食材を食べる時がやってきたのです。
1位〜3位チームはもちろん至福のひと時です。いたるところで「おいしー」「ウマイ!」の声が上がっていました。
さてさて・・・4位以下のチームはといえば・・・
4位のおやじーズ当日のメニューはカレーでしたが、カレーの上になにやら怪しげな物体がのっているのです。レーズンかと一瞬見間違えたのですが・・・実は蜂の佃煮“へぼ”でした。

乾燥まむしは 粉々にして、直接食べたり、カレーにかけて「ふりかけダァ〜」とか言いながら食べていましたが、へぼもまむしも高級食材です。滋養強壮にも効果があり翌日みな元気になったのは言うまでもありません。
さて・・・今度は5位の特攻野漏Bチームです。このチームも偶然にしておやじーズと同じメニューでカレーでした。しかし・・・鍋の中に妙なかたちをした具がたくさん入っています。 そうです。このチームは“ちらがー”“舌”“トン足”すべてを小さく切ってカレーに入れたのでした。
耳らしき・・鼻らしき・・・ものが一杯です。このチームもよく考えたらコラーゲンたっぷりで、 翌日みんなお肌がツルツルになったのではないかと思います。
次は『みんなで作ろう!ミックスジュース』を合言葉に、この恐怖のジュースを飲むはめになってしまった6位の邪悪チームを紹介しましょう。
青汁を飲むだけでも充分罰ゲームですが、各チームから提供?された食材は・・・
@ スライスチーズ
A酢みそ
Bパン粉
C油を含みすぎてベトベトしたお好み焼き
D豆板醤でした。
@〜Dまでの食材と青汁が一斉にミキサーで攪拌され、ドロドロで世にも不思議な・・いえ不気味という表現の方が的確なミックスジュースが出来上がったのでした。
このジュースのにおいを嗅ぎましたが、なんと表現したらよいのやら・・・・いよいよ恐怖の一瞬が近づいてきました。
邪悪チームのメンバーが一列に並び「せーのっ!」のかけ声とともに、いっき飲みです。・・・・・・・その後の光景はみなさんのご想像におまかせします・・・・・・・・
楽しい?食事も無事終了し、いよいよ本日のメイン・イベントの一発芸大会が始まりました。
この一発芸は指導員と春日井特攻両チームのリーダーが審査委員となり、それぞれ持ち点が5点でその合計点で順位を決めます。この順位が寮生にとっては夏の大掃除の場所決めになりますし、春日井生と外部生にとっては反省文の枚数になるだけに、これもみんな必死です。
手品あり、ものまねありでスゴイものから、くだらないものまでピンキリでしたが、ひとりひとりの個性が発揮されてとても楽しいひとときでした。
特に目立ったところでは最近入った春日井生です。日頃全くといっていいほど会話がない子で、かたいイメージもあり春日井のメンバーも喋れない子と思っていたのですが、いざ始まってみると、大きな声でデートネタの一発ジョークです。内容もおもしろく、意外性もあって もちろん全員一致の満点でした。みんなからの大きな拍手に自信と度胸がついたことと思います。
楽しい一発芸大会も終ったのが23時すぎになってしまいました。
それから片付けやら「今日の一日」 という反省文を書いて、シャワーを浴びたりしていると時間はもう夜中です。みんなクタクタです。 体育大会で5位6位になった春日井特攻両チームですが、この日の夜に掃除をする予定になっていましたが、さすがに疲れたらしくリーダーから「明朝、4時起きで掃除をします。」と指導員に話があったためこれを了解しました。
<7月28日・水曜日>
春日井の2チームは約束通り全員が4時に起床し、2時間かけて炊事場・トイレ・風呂場をきれいにしてくれました。みんなおそらく2時間ほどしか寝ていなかったと思われます。
しかし、翌日は 誰一人として手を抜くことなく、約束をはたし、丁寧な仕事をしてくれて、とても潔くさすが春日井生と関心しました。 その後、朝食でしたが火を使うチームはとうに薪も底をつき、みんな総出で薪拾いです。
この頃になると火をつけるのも慣れました。慌しく朝食をとった後、今度は帰りの身支度です。
2泊3日の合宿も終わりに近づいてきました。 私達は寝起きしたロッジの掃除にとりかかりましたが掃除も訓練のひとつです。
ほうきで掃く向きや雑巾で拭く方向が間違っていないか、隅・角をしっかりやっているか、力が入っているか・・・等を チェックしながら入念に掃除をし、約1時間半ほどかかりましたが掃除も終了しました。
汗をたくさんかいた後、みなでスイカを食べましたがよく冷えていてとてもおいしかったです。
荷物をバスに乗せ、おきまりの記念撮影のあと、お世話になったロッジのみなさんにあいさつをして わたしたちは帰路にについたのでした。
今回の合宿もたくさんの方々のお力添えがありました。ロッジの方から子供達にとジュースの差し入れがあったり、私達のためにビーチバレーの場所取りに早朝から出かけ、準備までもして下さいました。
地引網の内田さんからは、食べ盛りの子供達へとイカをたくさんいただきましたし、竹林をお持ちの深川さんからは立派な孟宗竹を頂戴しました。
また大工の野崎さんは竹を切るノコギリやナタやかんなを貸して下さいました。
そしてご父兄のみなさまのご理解とご協力があり、たくさんの方々のお力添えがあったからこそ、この夏合宿も無事に終る事ができました。 みなさまにはこの場お借りしましてお礼申し上げます。


『 今年も、海の幸、山の幸、そして・・・人の幸・・・・に感謝です。』

塾教育学院    日下部 愛子

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